HIV陽性後の生活

2015年末までに、日本では、発症、未発症を含めて、
約26,000人が報告されています。
今回は、データも紹介しつつ、
感染がわかった後の生活について紹介します。

イラスト 犬義

どこで、感染に気づくのか?

2013年に行なったHIV陽性者のアンケート調査では、感染を知ったタイミングは、病院でわかった人が6割ともっとも多く、約3割が保健所など、自分で受けた検査でと回答していました。

この調査は、全国9病院にて配布し、1,077人が回答してくれました。この結果によると、病院の外来や入院中に感染に知ったという人が全体の6割を占めていました。体調不良、関連の病気と一緒に感染に気づくという事が多くあります。

HIVとエイズの違いってなに?

HIVとは、エイズの原因となるウイルスのことです。HIVに感染すると初期に症状がでることもありますが、やがてその多くは消失します。HIV検査も受けずに、自分でも気づかずに過ごしていると、HIVは体内の免疫システムを破壊してしまいます。その結果、免疫状態が低下してしまい、普段では無害だった病原体によって引き起こされた症状をエイズと呼びます。

日本では23の症状がエイズと診断するための指標疾患とされています。HIVというウイルスに感染すると、長い年月をかけて免疫力を低下し、元々体内にもっていた菌やウイルスが活性化し、通常の免疫状態では生じない肺炎などをおこしやすくなります。これをエイズ発症と呼びます。

感染しているのはどんな人たち?

回答者は、男性が多く、女性、「その他」という回答もありました。年齢は30〜40代が中心ですが、幅広い年齢の人たちが回答してくれました。

性別は、以下の3択で質問すると次のようになっています。
男性:95.1%、女性:4.7%、その他:0.2%
回答者の年齢の幅は広く、20代〜80代までいます。感染者には10代もいますが、この調査の回答者には含まれていませんでした。
20代:6.3%、30代:30.2%、40代:35.9%
50代:15.0%、60代:10.1%、70以上:2.5%

感染経路は?

アンケートの配布は全国9カ所の専門病院の外来で、患者の約4割に配布した調査結果です。感染経路は約8割の回答者が男性同性間の行為だと回答しています。

同性間の性的接触:78.8%、異性間の性的接触:16.6%、血液凝固因子製剤:4.4%、注射器の共用:1.9%、感染経路が不明:4.4%となっていました。

オーラルセックスではうつるの?

オーラルセックスでも、口のコンディションや性感染症があるかどうかで、リスクが全くないという訳ではないのです。ぷれいす東京に寄せられる相談のなかに、オーラルセックスで感染するかどうかについての相談がよくよせられます。

HIV感染のゲイ男性のなかには、アナルセックスや静脈注射のまわし打ちなどの経験が全くないという人がいます。ですので、オーラルセックスでも、リスクが全くないという訳ではないのです。

服薬や通院は大変なのですか?

HIVの治療は服薬が基本です。服薬する回数は1日に1回:58.1%、1日に2回:35.7%となっています。また、通院の頻度は、2〜3ヶ月に1回:53.3%、1ヶ月に1回:28.8%、1ヶ月に2回以上:17.5%となっていました。体調が安定するほど、間隔が長くなっているようです。

治療の費用はどのくらいかかる?

服薬している人のほとんどが障害認定を受けています。これをつかって、医療費の助成を受けると、前年の住民税の納税額に応じて自己負担が0円〜2万円まで5段階に別れています。平均的なサラリーマンだと、病院と調剤薬局の支払いを合わせて、健康保険を利用して、1万円が自己負担の上限額となっています。

カミングアウト(職場、同居者)

自分の感染を、周囲の人に知らせている割合は、親:33.3% でした。同居している人は、別居している人よりも高い割合でした。職場でのカミングアウトは、上司:10.7%、同僚:7.4%、雇用主など:10.7%、人事:5.8%でした。

カミングアウト(パートナー、配偶者など)

パートナーがいる人は全体の37.8%(407人)でした。相手に感染を知らせている割合は74.4%でした。

夫/妻がいる人は全体の22.8%(246人)でした。知らせている人は59.3%でした。

元パートナー/元配偶者がいる人は33.3%(358人)で、知らせている人は53.7%でした。

HIV感染がわかったあとも、長期に病気とつきあいながら、生活を続ける時代になっています。