職場とHIV/エイズ

HIV/エイズの治療法は飛躍的に進歩し、HIV陽性者は健康を回復しやすくなりました。
しかし一般の人々の理解が進まないため、社会生活では暮らしにくさも残っています。
とくに職場では病名を知らせずに働いている人が多いので、
必要な対応を求めることができず、問題を抱えてしまうことがあります。
職場でのちょっとした配慮があれば、今以上に働きやすくなるHIV陽性者はたくさんいます。
病気や障がいを持つ人、子育てや介護をする人などにも共通する課題も多いです。
すべての人にとって働きやすい環境づくりのために、ご自身の職場を見直してみませんか?

イラスト 犬義

HIVに感染していても仕事ができるの?

HIV陽性者には20〜50代の働き盛りの世代の男性が多く、自分自身が働くことによる収入で生活しています。

HIV陽性者へのアンケート調査によると、仕事をしている人の約9割は週5日働いています。専門・技術職や事務職のほか、医療・福祉・小売・飲食・教育などのさまざまなサービス業で働く人が多いです。

HIVに感染していることを職場に伝えなければいけないの?

HIV感染について職場に通知する義務はありませんが、調査によると、働くHIV陽性者の約5分の1が職場の誰かしらにHIVに感染していることを伝えていました。

HIVに対する知識や理解のない職場では、知らせた場合にどんな対応をされるかわからないという不安から、多くのHIV陽性者はHIVのことを知らせずに働いています。調査によると、現在の職場に対して、「職場で勝手に病名を知られる不安を感じる」「HIVに対する同僚や雇用者の無理解や偏見を感じる」と答えた人が多くいました。

働くHIV陽性者が抱えるむずかしさって?

HIV陽性者の多くが制限なく働きたいと考えていますが、約4割のHIV陽性者は感染がわかってから離職や転職を経験しています。

仕事をやめた人の理由は「精神的な問題」「よりよい条件の仕事を探すため」「体力的な問題」などです。HIVについて職場に知らせていない人が多いので、何か問題を抱えたときに職場に必要な対応を求めることができずに仕事をやめた・変えたという人もいます。働きやすい環境があれば、仕事を続けることができたかもしれません。

HIVと職場についてもっと知りたい

くわしい調査結果のグラフや、職場のチェックリストなどが載ったパンフレット「職場とHIV/エイズ―HIV治療のこの10年の変化(2003→2013)―」をPDFファイルで読めます。

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