「なぜなにLove & Sex 調査」 解説ページ
なぜなにLove & Sex 調査に回答していただき、ありがとうございました。
調査のなかで、「⭕️」「❌」を質問する項目がありました。
その答えを解説させていただきます。皆様の参考にしてください。
アンケート中の以下の質問ですが、答えはすべて⭕になります。
- Q1HIV感染に気づいている人は、
治療を継続することで血液中からウイルスが
ほとんど見つからなくなる - A.
私たちが2013年に実施したHIV陽性者の生活実態を調べるための全国調査(回答者1,100人)の結果では、回答者全体の95%が抗HIV薬の服薬中でした。
また、回答者全体の約70%の人が血液検査の結果、ウイルスが検出限界以下(血液中からHIVがみつからないレベル)でした。HIV陽性者が多く通院する病院の医師たちによると、より高い割合で血液中からHIVがみつからないレベルまで抑え込むことに成功していると聞きます。
やがて精液などの体液中からもHIVがみつからないレベルに減少するといわれています。ですので、自らの感染に気づき、抗HIV薬の服薬をし、HIVを検出限界以下に抑えているHIV陽性者から、他者への感染の可能性は非常に低いことがわかっています。
- Q2性感染症(HIV以外)にかかっていると、
HIVに感染しやすくなる - A.
クラミジア、梅毒などの性感染症にかかっていると、HIVへの感染の可能性がより高くなることが指摘されています。性感染症にかかると粘膜に炎症がおこり、出血がしやすくなったり、HIVがとりつくことのできる白血球(CD4陽性Tリンパ球)が集まってきたりして、感染がおこりやすくなるといわれています。
- Q3HIVに感染しても、早期に治療を開始すれば、
長く生きられる - A.
感染している人と、感染していない人の寿命の差が小さくなっていることが報告されています。
感染している場合にも、早期に治療を開始して、継続していくことによって、定年や老後の生活を積極的に検討していけるような抗HIV薬による治療技術が開発されています。 - Q4HIVの治療費を低く抑えることができる
社会制度がある - A.
薬害エイズ裁判の和解により、1998年4月から、HIV陽性者は身体障害者認定の対象になりました。それにより、医療費を低く抑えるための医療費の助成制度を利用できるようになりました。
前年度の所得に応じて自己負担する金額は違いますが、健康保険と障がい手帳による医療費助成制度(自立支援医療)を併用した場合、平均的なサラリーマンの場合、医療機関/院外薬局の支払いを合わせて、月額1万円が自己負担の上限額となっています。通院の頻度も、最初は2週間〜月に1度、安定すると2〜3ヶ月に一度になることが多いので、その度にこの金額を自己負担することになります。
参考:「制度の手引き」 - Q5通院し治療を受けても、
HIVのプライバシーは守られ、
役所、病院などから職場や学校に勝手につたわらない - A.
健康保険を利用しても勝手に病名が職場や学校、家族に伝わることは、基本的にはありません。健康保険組合と会社は別組織です。健康保険法、個人情報保護法などで勝手に個人情報を職場に伝えることが禁じられています。また、医療従事者には守秘義務があり、罰則規定も存在します。
- Q6セックスの相手がHIVに感染している場合でも、
感染に気づき治療を継続している場合には、
感染の可能性は非常に低くなる - A.
HIV陽性で治療を継続している場合、多くの場合、血液中からウイルス(HIV)がみつからないレベルになります。最近、世界中で行われている調査でも、みつからないレベルにHIVを抑えることに成功していれば、ほぼ感染は起こらないと報告されています。もちろん、他の性感染症などが存在することもあるため、お互いの健康のためにコンドームの使用を続けることが基本になります。
- Q7HIV感染に気づかずにいると、
セックスを通じて体内のウイルスを誰かにうつすことがある - A.
日本の国内にHIV陽性者が何人いるのかは、実際のところわかりません。医師から厚生労働省に報告されているのは、2万6千人(2016年6月)います。しかし、HIVに感染しているのに、自分でその事実を知らないでいる人もいます。コンドームを使ってセックスをしていればHIV感染のリスクを大幅に減らすことが出来ますが、コンドームを使わないセックスをした場合には、知らない間に相手にウイルスを渡してしまう可能性があります。
- Q8オーラルセックスでのHIVの感染のリスクは低いが、
ゼロではない - A.
NPO法人ぷれいす東京はHIV陽性者、パートナー、家族むけのフリーダイヤルの電話相談を運営しています。毎年200〜300人のHIV陽性者から新規相談者があります。相談のなかでは、感染経路をお聞きすることもあります。なかには、アナルセックスはしたことがないが感染している、というゲイ男性も、数は多くありませんが存在します。もちろん、注射の回し打ちもしていないとのことです。
「フェラチオだけでHIVに感染するの?」とびっくりする人もあるかもしれませんが、実際にそのようなことはあるようです。ではどうしたらよいのでしょうか?いくつかのHIV感染の可能性を低くする方法があります。
1:最も安全な方法はコンドームをつけてフェラチオをすることです。もし、それが難しい場合には、2:あなたの口の外に相手に射精してもらう。3:喉に炎症がある、口内炎がある、虫歯の治療痕があるときなど、コンディションが悪いときには、行為を控えるなどがあります。フェラチオをされる側、つまり舐められる側は、HIVの感染の可能性はほとんどありません。
- Q9先進国ではHIVの主な感染ルートは
男性同性間のセックスによるものである - A.
イギリス、アメリカ、ドイツなどの先進国の多くは、男性同性間のHIV感染が主な感染経路になっています。また、アジアの国々、フィリピン、タイ、台湾、韓国、中国などでも男性同性間の性行為による感染の広がりが報告されています。日本では、毎年約1000人の男性が「男性との性行為」で新規に感染していると報告されています。
- Q10コンドームを使用することで、
HIVだけでなく、他の性感染症のリスクも減らせる - A.
コンドームだけで、性感染症のすべてを予防することはできませんが、感染の可能性をかなり低下させることができます。これは、病原体を含んだ精液や膣分泌液、直腸粘液などの体液が粘膜にふれることを防ぎ、病原体が侵入することを防ぐからです。
文責:生島嗣(ぷれいす東京相談員)
協力:地域においてHIV陽性者と薬物使用者を支援する研究 研究協力者、ぷれいす東京スタッフ