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「LASH (Love and Sexual Health) 調査」 解説ページ

2011.11.21

 

LASH調査に回答していただき、ありがとうございました。
調査のなかで、「○」「×」を質問する項目がありました。その答えを解説させていただきます。皆様の参考にしてください。

アンケート中の以下の質問ですが、答えはすべて○になります。

Q1. HIV感染に気づいている人は、治療を継続することで血液中からウイルスがほとんど見つからなくなる
私たちが2019年に実施したHIV陽性者の生活実態を調べるための全国調査(回答者1,543人)の結果では、回答者全体の98.5%が抗HIV薬の服薬中でした。
また、回答者全体の78.3%の人が血液検査の結果、ウイルスが検出限界以下(血液中からHIVがみつからないレベル)、12.3%が(ウイルスが200以下)でした。
やがて精液などの体液中からもHIVがみつからないレベルに減少するといわれています。
ですので、自らの感染に気づき、抗HIV薬の服薬をし、HIVを検出限界以下、低いレベルに抑えている人は全体の9割以上でした。
・参考:「HIV陽性者の生活と社会参加に関する研究」(P12)
Q2. 性感染症(HIV以外)にかかっていると、HIVに感染しやすくなる
クラミジア、梅毒などの性感染症にかかっていると、HIVへの感染の可能性がより高くなることが指摘されています。性感染症にかかると粘膜に炎症がおこり、出血がしやすくなったり、HIVがとりつくことのできる白血球(CD4陽性Tリンパ球)が集まってきたりして、感染がおこりやすくなるといわれています。
Q3. HIVに感染しても、早期に治療を開始すれば、長く生きられる
感染している人と、感染していない人の寿命の差が小さくなっていることが報告されています。
感染している場合にも、早期に治療を開始して、継続していくことによって、定年や老後の生活を積極的に検討していけるような抗HIV薬による治療技術が開発されています。
Q4. HIVの治療費は低く抑えることができる社会制度がある
薬害エイズ裁判の和解により、1998年4月から、HIV陽性者は身体障害者認定の対象になりました。それにより、医療費を低く抑えるための医療費の助成制度を利用できるようになりました。
前年度の所得に応じて自己負担する金額は違いますが、健康保険と障がい者手帳による医療費助成制度(自立支援医療)を併用した場合、平均的な会社員の場合、医療機関/院外薬局の支払いを合わせて、月額1万円が自己負担の上限額となっています。通院の頻度も、最初は2週間~月に1度、安定すると2~3ヶ月に一度になることが多いので、その度にこの金額を自己負担することになります。
・参考:「制度の手引き」
Q5. 通院し治療を受けても、HIVのプライバシーは守られ、役所、病院などから職場や学校に勝手に伝わらない
健康保険を利用しても勝手に病名が職場や学校、家族に伝わることは、基本的にありません。健康保険組合と会社は別組織です。健康保険法、個人情報保護法などで勝手に個人情報を職場に伝えることが禁じられています。また、医療従事者には守秘義務があり、罰則規定も存在します。
Q6. セックスの相手がHIVに感染している場合でも、感染に気づき治療を継続している場合には、感染の可能性は非常に低くなる
HIV陽性で治療を継続している場合、多くの場合、血液中からウイルス(HIV)がみつからないレベルになります。最近、世界中で行われている調査でも、みつからないレベルにHIVを抑えることに成功していれば、セックスの相手への感染はほぼ起こらないと報告されています。もちろん、他の性感染症などが存在することもあるため、お互いの健康のためにコンドームの使用を続けることが基本になります。
Q7. HIV感染に気づかずにいると、セックスを通じて体内のウイルスを誰かにうつすことがある
日本の国内にHIV陽性者が何人いるのかは、実際のところわかりません。医師から厚生労働省に報告されているのは、33,537人(2021年末)います。しかし、HIVに感染しているのに、自分でその事実を知らないでいる人もいます。コンドームを使ってセックスをしていればHIV感染のリスクを大幅に減らすことが出来ますが、コンドームを使わないセックスをした場合には、知らない間に相手にウイルスを渡してしまう可能性があります。
厚生労働省エイズ動向委員会 2021年報
Q8. オーラルセックスでのHIV感染のリスクは低いが、ゼロではない
NPO法人ぷれいす東京はHIV陽性者、パートナー、家族むけのフリーダイヤルの電話相談を運営しています。毎年200~300人のHIV陽性者から新規相談者があります。相談のなかでは、感染経路をお聞きすることもあります。なかには、アナルセックスはしたことがないが感染している、というゲイ男性も、数は多くありませんが存在しています。もちろん、注射の回し打ちもしていないとのことです。
「フェラチオだけでHIVに感染するの?」とびっくりする人もあるかもしれませんが、実際にそのようなことはあるようです。ではどうしたらよいのでしょうか?いくつかのHIV感染の可能性を低くする方法があります。
1:最も安全な方法はコンドームをつけてフェラチオをすることです。もし、それが難しい場合には、
2:あなたの口の外に相手に射精してもらう。
3:喉に炎症がある、口内炎がある、虫歯の治療痕があるときなど、コンディションが悪いときには、行為を控えるなどがあります。
フェラチオをされる側、つまり舐められる側は、HIVの感染の可能性はほとんどありません。
Q9. 先進国ではHIVの主な感染ルートは男性同性間のセックスによるものである
イギリス、アメリカ、ドイツなどの先進国の多くは、男性同性間のHIV感染が主な感染経路になっています。また、アジアの国々、フィリピン、タイ、台湾、韓国、中国などでも男性同性間の性行為による感染の広がりが報告されています。日本では、毎年約1,000人の男性が「男性との性行為」で新規に感染していると報告されています。
Q10. コンドームを使用することで、HIVだけでなく、他の性感染症のリスクも減らせる
コンドームだけで、性感染症のすべてを予防することはできませんが、感染の可能性をかなり低下させることができます。これは、病原体を含んだ精液や膣分泌液、直腸粘液などの体液が粘膜にふれることを防ぎ、病原体が侵入することを防ぐからです。
Q11. 国内のゲイ男性の間では梅毒感染報告者数が近年増えている
2021年末までに報告された梅毒の感染報告数は7875件で、過去最高を更新しました。20代女性の感染者も増えていますが、男性同性間の性行為で感染したという人も増えています。梅毒は早めに感染に気づき治療をすることで完治することが可能ですが、何度でも感染します。ですので、心あたりがある人は保健所や医療機関で定期的に検査を受けましょう。
梅毒に御用心2022(コミュニティセンターakta)
東京都性感染症ナビ

2021~2023年度厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策政策研究事業)
「地域におけるMSMのHIV感染・薬物使用予防策と支援策の研究」(研究代表者:樽井正義 研究分担者:生島 嗣)

連絡先
NPO法人ぷれいす東京内
研究・研修部門
メールアドレス: research-office☆ptokyo.org(☆を@にかえてください)